1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ 4倍値上げしても売れる仕組みの作り方 (SB新書) 氏家 健治 SBクリエイティブ 2014-01-17 売り上げランキング : 2119 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
いただいた本を読んだので、感想を書くね。
■アマゾンの内容紹介より
弱者が強者に勝つ! 戦略的ブランディング
徹底的にわかる! 大逆転の儲け術
人気スイーツ店が教える儲けのカラクリ
片手に収まるくらいの小ぶりなガトーショコラが1つ3000円 。
おそらく日本一高いガトーショコラが連日完売する。
ケンズカフェ東京は新宿の外れで、人通りの少ないところにひっそりとある。
しかし、この店のガトーショコラを求めて、多くの人が通ってくる。
最初からこんなに売れていたわけではない。
もともとはスイーツ店でなくイタリア料理店だったが、一時は赤字に陥り、借金苦に。
ところが、デザートのガトーショコラがクチコミで広がり、
ランチもディナーもやめてガトーショコラ1本に絞り、人気店に。
ガトーショコラのサイズは当初の半分に、値段は倍に。
サイズあたり4倍の値上げにもかかわらず、人気は衰えるどころか、うなぎ上りに。
その背景には、氏家シェフの緻密なるマーケティング戦略が隠れている。
扱う商品は「ガトーショコラ」1つだけ。
値段もサイズも店も1つだけ。
街の小さな路面店でありながら、驚異のビジネスモデルでスイーツをトップブランドに育て上げた。
弱者が強者を凌駕する計算され尽くした“一点集中マーケティング"。
紆余曲折の末にたどり着いた、どの業界にも通じる儲けのカラクリを隠すことなく公開する。
■目次
はじめに
第1章 なぜ4倍値上げしてもお客が増えるのか?
第2章 今より高く売る! ブランドの育て方
第3章 ブランド力の伝え方
第4章 “ありがたみ"を形にするサービスブランディング
第5章 究極の1品ビジネス
第6章 スペシャリテ(看板商品)の磨き方
第7章 ダントツのネット活用術
第8章 どん底だから勝機は見えてくる
第9章 正しいチャレンジのしかた
おわりに
■読書犬「ブック」の感想
この本は、成功者が自ら書いたマーケティング、ブランディングの優れた教科書であり、人気スイーツ店「ケンズカフェ東京」の成功物語でもある。具体的な内容はアマゾンの内容説明に譲るけど、こんなに公開してもいいの?と心配になるほど成功のノウハウが満載なんだ。
この本の著者は、職人としてだけでなく、経営者やマーケターとしても一流であり、相当な勉強家なのだろう。そうでなければ、いくら商品に自信があっても、あの常識外れな値上げはできないはずだ。
贈答用という特殊性はあるけど、この本に書かれているノウハウは多くのビジネスで参考になる。たとえば、将来的に有望で、簡単にマネのできない贈答用の商品を開発し、著者の戦略を適用すれば、かなりの確率で成功するはずだ。
ちなみに、僕が好きな本「アイデアのちから」(チップ・ハース、日経BP社)で定義されている成功法則(記憶に粘る条件)は、
(1)単純明快である(Simple)
(2)意外性がある(Unexpected)
(3)具体的である(Concrete)
(4)信頼性がある(Credible)
(5)感情に訴える(Emotional)
(6)物語性(Story)
なんだけど、ここに「ケンズカフェ東京」を当てはめてみると、
(1)単純明快である=商品はガトーショコラのみ
(2)意外性がある=常識外れの価格設定
(3)具体的である=日本一美味しい
(4)信頼性がある=厳選された材料
(5)感情に訴える=セレブ御用達
(6)物語性=人気店になるまでのストーリー
となり、ほぼ完璧に条件を満たす。
だから「ケンズカフェ東京」のガトーショコラは、多くの人の記憶に貼り付き、気の利いた贈答品を探すとき、選択肢の一つになる可能性が高いのだ。
僕にはこの本がどの程度売れるかわからないけど、「ケンズカフェ東京」のブランディングの一環、特に、ブランドの物語性を強化するという意味でこの本は大きな役割を果たすだろう。
最後に、この本を読んで思いついた読書犬「ブック」の格言をどうぞ。
「本当の成功は、成功しても努力を惜しまず、革新を継続する人にのみ与えられる。」