こうして、世界は終わる――すべてわかっているのに止められないこれだけの理由 ナオミ・オレスケス エリック・M・コンウェイ 渡会 圭子 ダイヤモンド社 2015-06-26 売り上げランキング : 252160 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■読書犬ブックの評価
タイトル:★★★☆☆
著者実績:★★★☆☆
評価予想:★★★★☆
■アマゾンの内容紹介より
ハーバード×NASA! 当代随一の研究者が
タッグを組んで警鐘を鳴らした世界騒然の書!
熱波、海面上昇、人口大移動、パンデミック、資本の集中、市場の失敗……
すべてを予測しながらも、この世界は雪崩を打って崩壊する。
歴史科学から科学史、経済地質学まで、無数の科学的知見を盛り込んだ驚くべき書。
著者のナオミ・オレスケスは科学史の世界的権威であり、
その世界の危険な現状への知見は、アル・ゴアの『不都合な真実』の
論拠となり、自らによる議会証言にもつながるなど、その研究は極めて高く評価されている。
共著者のエリック・M・コンウェイは、NASAに所属する受賞多数の研究者だ。
こうした世界の第一線の研究者らがここまで踏み込んだ意見を発表するのは異例のことだ。
Xデーは2093年。すべてわかっているのに避けられない。それはなぜか?
本書の手法は、世界崩壊の300年後から、現代を俯瞰して見るという斬新なアプローチだ。
これによって、いまの人類が、そのプロセスと原因をはっきりと理解しながらも、
いかにむざむざと、しかし確実に滅亡に向けて歩を進めているかが見えてくる。
「滅亡」のXデーは2093年。
環境問題にとどまらず、政治、経済など幅広い知見から、
現状の困難な問題をずらりと溯上に乗せる手つきは見事であり、
多くの読者は、そのリアリティに背筋の凍る思いがするだろう。
◎これだけの手を打たなかった
◎2009年、逃した最後のチャンス
◎気温上昇4℃で、熱波と干ばつが常態になる
◎「虫の大発生」で病気が爆発的に広がる
◎永久凍土が溶け、シロクマが絶滅する
◎海面上昇で、地球の「大崩壊」が起こる
◎「人口大移動」から全生物の7割が死ぬ
◎「1パーセント」の人間だけが自由な世界
熱波やハリケーンなどの異常気象や世界的に不穏な事態が続発するなか、
現状に不安を抱いている人は多いのではないか。
本書は、そうした疑問の多くへの答えとなっている。
いま世界で何が起こっているのか、人類の一員としてぜひ読んでおくべき一冊である。
■著者について
ナオミ・オレスケス(Naomi Oreskes)
ハーバード大学科学史教授、地球惑星科学客員教授。科学史の世界的権威。その世界の現状に関する知見は、アル・ゴアの『不都合な真実』の論拠の一つとなり、米上院委員会で議会証言するなど、多くの識者の注目を集めている。「サイエンス」誌に掲載された彼女の「象牙の塔を超えて」は地球温暖化否定論に対する戦いの「里程標」と言われている。エリート科学者と企業の癒着を暴いたコンウェイとの共著『世界を騙しつづける科学者たち(上・下)』は、世界的ベストセラーとなった。
エリック・M・コンウェイ(Erik M. Conway)
歴史科学者。NASAジェット推進研究所所属。「航空学から地球・宇宙科学に至る宇宙史への革新的な貢献」によってNASA歴史賞を、著書『NASAにおける大気科学』によってアメリカ航空宇宙学会歴史史料賞を受賞している。
渡会圭子(わたらい・けいこ)
翻訳家。上智大学文学部卒。訳書に『フラッシュ・ボーイズ』『私たちは今でも進化しているのか?』(ともに文藝春秋)、『習慣の力』(講談社)、『スノーボール・アース』(早川書房)などがある。
■目次
イントロダクション――文明崩壊をシミュレーションする
第1章 これだけの手を打たなかった――21世紀に人類が犯したミス
すべてわかっていたのに崩壊した
大気が「飽和状態」になっている
危機的レベルの温室効果ガスの影響
世界は「利益」でしか動かせない
抑えられない途上国の論理
続発する「山火事」「洪水」「ハリケーン」
二〇〇九年、逃した最後のチャンス
危機的状況でなぜ事態が悪化したのか?
第2章 エネルギーをめぐる狂騒が始まる――熱波、人口大移動、パンデミック
「正当な自然科学者」へのバッシング
科学者の温暖化予測は「過小評価」だった
なぜ脅威を把握できなかったのか?
専門家がまともな答えを出せない構造
「誤差」があるから認めない
政治家は「時間がある」と思っていた
危険が「明白」なのに止められない
「シェールガスの狂騒」というダメ押し
北極の氷がなくなるのは「時間の問題」
もっと儲けたい政財界の「詭弁」
「ガス開発は環境にいい」の五つの嘘
「気温上昇四℃」で、熱波と干ばつが常態になる
「虫の大発生」で病気が爆発的に広がる
エネルギー・インフラはすぐには変えられない
「窮余の策」がリバウンドを生む
永久凍土が解け、シロクマが絶滅する
海面上昇で、地球の「大崩壊」が起こる
「人口大移動」から全生物の七割が死ぬ
人類の終焉を「遺伝子工学者」が防ぐ
太陽放射の減少が幸いする
第3章 最後の一線を越える――こうして人類は「崩壊」を自ら選ぶ
崩壊の予測もできたし、回避のノウハウもあった
シンクタンクを「隠れ蓑」にする企業
「市場原理主義」という信仰
これが「唯一の方法」という考え方
民主的な手続きが壊れていく
理論と現実は一致しない
経済システムの「不毛な対立」
壁にぶつかった首脳たちが頼った「劇薬」
たががはずれた実業家たちの愚行
人々は政府の介入を「拒絶」した
一切の「予防策」を取らなかった
「自由」ではなかった自由市場
「一パーセント」の人間だけが自由な世界
エピローグ なぜ中国は切り抜けられたのか?
「中央集権国家」が生き残った皮肉
著者による解題